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ルパンが盗んだのは仮想通貨ではなくデジタル通貨

この春のアニメは豊作。その中でも「ルパン三世 PART5」は、ルパンが現金ではなくデジタル通貨を盗むなど、新しいトピックも盛り込まれており、人気のようです。でも、盗んだのは「仮想通貨」ではなく「デジタル通貨」。なぜでしょう?

 

劇中で詳細は触れられていませんが、仮想通貨とデジタル通貨は別物。仮想通貨は裏付け資産・価値の保証がないため、経済学的に言えば、本源的な価値はゼロ。つまり、信用(妄想?)のみによって成り立っています。一方、デジタル通貨と呼ばれるものは通常、円やドルなどの法定通貨と価値がリンクしていて、その法定通貨は国債等の裏付け資産があるため、価値が担保されています。ここが大きな違いです。

 

また、仮想通貨は分散型のシステムを採り、マイニングといって設備さえ用意すれば誰もが取引を承認できるのですが、そのためには大量に電力を消費するという問題を抱えています。電気代がマイニングによるご褒美を上回ったら、誰もマイニングをしなくなるので、永遠に決済が確定しなくなります。マイニングにかかる電力消費量は増えているので、やがて取引されなくなり、その意味でも価値はゼロになります。仮想通貨の一種類であるビットコインだけでアイルランドの消費電力量を上回っているという推計もあって、環境面から問題視されています。ルパンが盗むには、仮想通貨は残念過ぎます。他方、デジタル通貨は中央集権型のシステムで、国や銀行などの発行主体が最終的な決済を確定させる役目を担うことが想定されています。権力は集中しますが、環境への負荷は低くなります。

 

そもそも、仮想通貨という名称は時代遅れになっています。G20などの公的・国際的な場では仮想通貨ではなく暗号資産(Crypto-assets)と呼ばれていて、公的には仮想「通貨」は存在しません。通貨として使い物にならないからです。今後の技術進歩で再び仮想「通貨」が登場するかもしれませんが、現状は、散々たるものです。

 

日本では仮想通貨取引所という言葉さえもいまだに使われています。取引所は公的な性格を持ちますが、仮想通貨に取引所はなく、業者が仲介しているに過ぎません。仮想通貨取引所と暗号資産取扱業者とでは、随分、印象が違いますが、国際的には後者のイメージです。

 

仮想通貨は通貨たりえないというのが、中央銀行のグループでは常識でした。それが、どうしてこうなったのか?金融庁が前のめりで、仮想通貨にお墨付きを与えてしまいました。経済学をちゃんと勉強しなかった法律職採用の役人が、思い込みでろくに調べもせず、法律を作ってしまったのでしょう。資金決済法との関係で取引に消費税がかからないなど、公的に普及を後押しをしたように見えていることも問題です。日本では金(ゴールド)の取引にさえ消費税がかかるので、金よりももっとお金に近いと錯覚してしまいます。一部の証券会社に取扱商品に暗号資産を採り入れる動きがありますが、この期に及んで、堂々と仮想通貨と銘打っています。

 

日本のアニメは素晴らしい。世界と戦えます。翻って、日本の金融業界は…