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そろそろ記念貨の発行を止めた方が良い理由

財務省が本日、明治150年を記念した硬貨を発行すると発表しました。詳細は財務省ホームページの公表資料に譲りますが、額面1,000円のところ販売価格は9,000円になります。

 

どうしてこのような価格になるかというと、額面を上回る製造コストをかけることで偽造を防止するとともに、販売価格を高く設定することで政府が利益を得られるようにするためです。

 

一見、偽造貨が出回らないし、政府の収入にもなるので、何ら問題はないように思えますが、実際には隠れたコストが生じる可能性があります。

 

まず、偽造通貨として出回る可能性は低いですが、発行枚数(販売枚数)が伸び悩んで初期コストが回収できなかった場合は、政府のコスト・国民負担になります。

 

また、真贋の判定が難しい硬貨を発行すると、それが金融機関や日本銀行に持ち込まれたときは、真贋を確かめる鑑査のコストが生じます。記念貨のように高額になると一枚一枚確認せざるを得ず、人手をかけることになります。

 

使われなかった場合は通貨が死蔵されることになり、貴金属という資源の無駄です。また、日本銀行を経由して造幣局に引き揚げられた後は、他の硬貨に使われていない着色・加工があると、溶かして再利用するための工程が複雑になりコストが嵩みます。

 

今後、今上天皇陛下の退位・現皇太子殿下の即位の際には過去の例からすると、高額の記念貨が発行される可能性が高いですし、2020年東京オリンピック・パラリンピックの記念貨の発行も予定されています。こうした発行が続くと、死蔵される通貨が増え、統計としての現金の発行額に歪みが生じます。既に、数兆円規模で記念貨が死蔵されていると思われますが、今後、更に実勢と乖離する可能性が高いと思われます。

 

一部のマニアと関係者を喜ばせるために上記のコストを払うのは、社会的に正しいのか考える必要があります。通貨としてではなく、記念メダルや記念品を販売すれば、上記の問題の幾つかは解決に繋がります。ただでさえ、現金を扱うコストが問題視されつつある中で、より使い勝手の悪い記念貨を発行する意義は薄いように思います。

 

財務省の公表資料はこちらです。他の記念貨についても情報があります。

https://www.mof.go.jp/currency/coin/commemorative_coin/meiji150/20180525.html