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日本銀行のさくらレポート(別冊)をどう読むか

先日、日本銀行のさくらレポート(別冊)が公表されました。メディアでの取り上げられ方は小さいものですが、日本銀行のはっきりした問題意識が見て取れます。

 

タイトルは、

『高水準の収益対比で控えめな企業の支出スタンスの背景 ──中小企業を中心に──』

 

支店等の産業調査の情報を集約しただけあって読み応えのある内容です。注目すべきポイントは、黒田総裁が講演などで主張している、デフレーション・マインドセット説をサポートする形になっている点です。日本語ではデフレマインドと略されていますが、英語での講演等ではDeflation mindset、つまり物価が下がるという期待というよりも、不況を通じて醸成された保守的な思考の枠組みが企業の設備投資等を妨げ、期待インフレ率の上昇を妨げているという考え方です。

 

本文中にはリーマン・ショックのトラウマが強調されていますが、こうした海外初の不況だけではなく、日本はバブル崩壊後、不良債権処理等の日本国内の問題も重なり、好景気の実感を得ることなく30年近くが経とうとしています。こうした状況が企業の設備投資スタンスを過度に保守的にしているという問題提起をまさに支店も動員して説明する形になっています。

 

また、解決策として、「政府による成長戦略の着実な実行や企業による新たな需要の創出・開拓の取り組み、こうした取り組みに対する金融機関や経済団体等によるサポートの一段の充実などが重要」と述べるなど、日本銀行の金融緩和だけでは限界があることを示した内容になっています。

 

このように、今回のさくらレポート(別冊)は注目に値するレポートです。本店(地域経済調査課)+32支店+水戸事務所の産業調査を集約しているだけあって、地方経済、特に人口減少や事業承継にもしっかりと紙幅を割いていますので、地方創生等に携わっていらっしゃる方にもお勧めです。

 

因みに、個人的な興味として、支店等がレポート中にどの程度登場しているか気になり、星取表を作成しました(こちらの方が時間がかかりました…)。全支店をまんべんなく網羅するよう本文中に必ず一回は支店名が登場するよう配慮されているなど、単なる産業調査にとどまらず地方での日本銀行のプレゼンスや地方出身の国会議員への配慮を感じさせます。どうやらこの方式、さくらレポートの草創期から変わっていないようです。

ダウンロード
さくらレポート星取表
2018年6月4日に公表されたさくらレポート(別冊シリーズ)内に登場する支店等の回数をカウントしたものです。
201806さくらレポート星取表.xlsx
Microsoft Excel 33.2 KB