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ピークアウトか?踊り場か?

日銀短観の6月調査が公表されました。大企業製造業の業況判断DIは3月調査と比べると▲3ポイントの21。市場予想をやや下回りました。米中の貿易摩擦懸念が反映された形です。大企業非製造業の業況判断DIが前回比+1ポイントの24となったことや、中堅企業・中小企業の業況判断DIの変化幅が小幅であったことなどから、10時現在の株式市場の反応は限定的なようです。

 

この数字だけを見て、景気がピークアウトしたと判断するよりは上昇局面での一時的な踊り場と解釈した方が自然です。まずは一安心と言ったところでしょうか。

 

もっとも、11月にある米国の中間選挙に向け、今後ますますトランプリスクが増大すると思われますし、地政学的なリスクも懸念されます。国内に目を向けても、労働者の賃金は抑制的ですし、景気のバロメーターである物価上昇率は低いまま。また、先日成立した働き方改革関連法案については、高度プロフェッショナルとして残業代もないままにこき使われるようになるのではないかと、むしろ先々の不安要素として捉える方も多いと思います。

 

一頃は2020年の東京オリンピックが終わるまでは、景気は大丈夫という見方が支配的でした。力強さには欠けるかもしれないが、ゆるゆると持続するというイメージをお持ちの方が多かったと思います。それが、景気を予測する上で最も重視されている日銀短観の大企業製造業の業況判断DIが2四半期連続で悪化。先行きについても明るい展望というよりは、リスクが目に付く展開です。

 

仕事柄、景気の予測を求められることがあるのですが、私は先行きについて慎重というか悲観的な見方をしています。東京オリンピック後に景気が後退すると皆が予想するのであれば、企業経営者はその前年には設備投資を抑制すると思いますし、建設需要も前年にはピークアウトします。将来のことを考えれば、消費税増税は歓迎すべきことなのですが、短期的には消費者心理の悪化要因です。2019年にはこれだけの悪材料が揃っていますし、年内にあと2回、米国の政策金利引き上げがあれば、新興国の金融市場がさらに不安定になるかもしれません。失業率はこれ以上下がるのが難しいですし、賃上げも力強さに欠けるのが現状です。また、日銀の金融緩和も限界に近付いています(若田部副総裁は「金融政策に限界はない」と強気ですが...)

 

私はメインシナリオは2019年中に景気はピークアウトすると置いていますが、トランプリスクや地政学的リスク、また国内の政治リスク等を勘案すると、年内のピークアウトもあり得ると考えています。敢えて数字で表現するなら、景気がピークアウトする確率は、2018年:2019年:2020年=25:70:5というイメージです。

 

次の景気後退についてはとても心配しています。金利を上げるべきときに上げておかなければ、次の景気後退の際の糊代(緩和余地)を作れませんし、金利が低すぎて金融機関収益は悪化しています。財政についても国は借金まみれ。日銀が大量に国債を買ってくれることに安穏とし、財政改革は先送りにつぐ先送りです。

 

やるべきことをやらなかったツケが回ってくるのが次の景気後退局面。しかも、政治・政策のツケが普通の国民に回ってくる。本当に、自分の身は自分で守らなければいけない時代になった、そう痛感します...