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オリンピック、本当に開催して大丈夫なのか?

2年後の今日は東京オリンピック開会式。この暑い東京で本当に開催して大丈夫なのでしょうか?過去には死者が出た大会もあります。

 

先日、気象庁から異常天候早期警戒情報が発表され、関東甲信地方は平年気温よりも1.9℃高い確率が30%以上あるそうです。「異常」と付いているので、「特別」な場合しか発表されないのかと言えばそうではなく、沖縄地方は0.8℃低い確率が30%以上あることで発表されています。平年差もさることながら確率が重視されており、科学的である一方、異常という単語についての一般的な感覚とはやや異なります。

 

2年後の天候など誰も予想できませんが、ここ数日の気温から2℃程度下がっても、焼け石に水と感じるでしょうし、今年より暑くなる可能性もあります。首都圏の気温は場所による差が大きいですし、そもそも、発表される気温は日陰で風通しが良い場所。学校で習った百葉箱での気温と実際の日なたの気温とではかなり異なりますし、体温のコントロールにとっては湿度も重要な要素です。

 

オリンピックのスケジュールは水泳とFIFAとの協議が必要なサッカーを除き、大枠で決まってしまいました。マラソンのスタートは8月9日(日)朝7時。朝の通勤で駅まで歩くだけでも大変なのに、42.195キロを走ることを考えると無謀としか言いようがありません。

 

皮肉にも、近代オリンピックでマラソンの距離が42.195キロに統一された1924年のパリオリンピックでは、5月にも関わらず、異常気象(フェーン現象という説が有力のようです)により気温が上昇。開始時間を遅らせたのですが、半数が途中棄権。翌日には死者が出ています。

 

そもそも、マラソンの由来になる、マラトンの戦いの勝利をアテネに伝えた伝令兵の故事では、「わが軍勝利」と叫んだ後、絶命したとあります。死因は不明で史実かどうかも議論はありますが、熱中症だったのかもしれません。

 

1964年の東京オリンピックは10月10日が開催日でした。その後、テレビ局や広告代理店の強大化とプロスポーツビジネスの隆盛が相まって、ヨーロッパではサッカー、米国ではアメフトといったメジャースポーツのシーズンと重ならないよう、真夏の開催となってしまいました。

 

オリンピックはもはや拡大し過ぎており、一都市で賄うことは限界に来ています。東京の次はロサンゼルス、そして2028年はパリ。2028年まで決まっているのは、それだけ大会が大掛かりになり準備期間が必要だからです。古代ギリシャであれば都市が国家でしたし(アテネとスパルタでは法律も文化も全く違っていました)、競技規模が小さければ、都市開発と併せて先進国以外でも開催する余地はありますが、ビジネスとして拡大を求めている以上、無理な運営が続くことになります。

 

実は過去に、米国は、デンバーで1976年に行われる予定だった冬季大会を返上しています。2020年の東京大会を中止することは難しいでしょうが、せめて、熱中症の危険が予想される競技については北海道で開催するなど、改めて議論する必要があります。

 

小池都知事の任期はオリンピック開催期間中の2020年7月30日のため、前倒しで選挙が行われる見込みです。であれば、さらに前倒しして、今年9月の自民党総裁選後に都知事選挙を行い、誰が知事になるにせよ、オリンピックに向けて盤石な体制作りをした方が良いと思います。オリンピック準備の追い込み時期に選挙をすることになると、今の東京都職員のマンパワーでは対応できなくなる恐れがあります。労働需給もひっ迫していますし、人手を増やす予算も限られています。何しろ、大会期間中に英語で道案内できるようなスキルの人達を、「ボランティアだから無料」、と言い張るほど予算不足です。

 

2020年の東京大会では、交通機関の混雑を始め、さまざまな混乱が予想されます。パラリンピックを開催するのに、バリアフリー化が進んでいない点も気になります。また、大会に向けて、東京ビッグサイトなどの展示施設が長期間使用できなくなるため、ビジネスマッチング事業が上海などに流出することが懸念されます。こうした損失の計算は難しいですが、1兆円以上という予測もありますし、長期的な観点で考えると、それ以上の損失になるかもしれません。

 

今後、様々な機関からオリンピックの経済効果の推計が改めて算出されますが、機会費用を考えると、経済効果はあまり高くないか、もしかするとマイナスになるかもしれません。せめて、選手・観客の生命の危険がない大会になることを望みます。