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リーマンショックから10年

リーマンショックから10年。改めてリーマンショックを振り返ると、その前段にはサブプライムローンがあり、サブプライムローンの証券化商品があった。ネイト・シルバーの『シグナル&ノイズ』などに記されているが、証券化商品の格付けが厳しければ、もう少し購入サイドも慎重になったかもしれない。

 

なぜ高い格付けがついていたかというと、それぞれのサブプライムローンがデフォルトする確率が独立する、ないし、相関係数が低いと仮定していた影響が大きい。一見、正しそうな仮定に見える。誰かが借金を返せなくなることと、別の誰かが借金を返せなくなることの間に直接の因果関係はない。だが、誰かの所得が減って借金が返せなくなるような経済状態では、別の誰かも所得が減って借金が返せなくなる可能性が高まる。特に米国では、ずっと低所得者層の賃金が伸び悩んでいた(現在も同様だ)。そのような状態での利払い負担は家計を圧迫し続ける。ショックに脆弱な家計が多かった。

 

サブプライムローン間のデフォルト確率に正の相関をしっかりと設定していれば、楽観的な格付けにはならなかっただろう。もちろん、Too Big to Fail、大きすぎて潰せないと思われていたリーマンが破綻したことで、金融機関の間で疑心暗鬼が広がったこともあるし、米国政府の意思決定の問題もある。だが、そもそもの問題は単純な統計学の問題だったかもしれない。そして、その問題を無視した格付け会社があった。

 

金融商品は複雑化している。一見シンプルな投資信託にも、毒饅頭としか思えない商品がある。次の震源地はどこになるのか。地雷が爆発するまで分からないのか。金融危機10年周期説などが、まことしやかに囁かれる。それだけ、何かがおかしいと感じている人が多いのかもしれない。