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統計制度を考える

政府統計が不正を契機に注目を集めている。

 

データを分析するための書籍は多々ある。また、経済統計を解説した書籍も良書は少ないが、あることはある(最良だった『経済統計の活用と論点』は第3版で改訂が止まり10年近く経つ…)

 

一方、統計制度について解説した本は、そもそもの発行が少ない。統計法が改正されたにも関わらず、『統計六法』の改訂もされずじまいである。

 

これまで統計制度には関心が寄せられなかったため、統計制度の良書は関係者・大御所の専門書に限定されると言って良かろう。

 

『統計制度論 日本の統計制度と主要国の統計制度』島村史郎 著、日本統計協会(2006年)

https://www.amazon.co.jp/dp/4822330508/ref=cm_sw_em_r_mt_awdo_clhCCbR9W1KB4

https://books.rakuten.co.jp/rb/3740093/

月刊『統計』の連載論文を収録・編集。第1部では我が国統計の10の原則が興味深い。また、第2部の主要国の統計制度では、集権型・分散型の差異にとどまらない様々な統計制度が存在していることが分かる。サッチャーの統計予算削減を日本は他山の石にできなかった…

 

『統計学の日本史 治国経世への願い』宮川公男 著、東京大学出版会(2017年)

https://www.amazon.co.jp/dp/4130430394/ref=cm_sw_em_r_mt_awdo_pjhCCbHE6P7V8

https://books.rakuten.co.jp/rb/15072598/

明治維新から平成までを扱っているが、明治期についての記述が中心。福沢諭吉、大隈重信、森鴎外などの著名人が統計と如何に関わったか、また、原敬と国勢調査の関係など、統計学が国の政策科学を担うものという視点で記されている。統計研究会創立70周年記念出版。

 

『歴史と統計学 人・時代・思想』竹内啓 著、日本経済新聞出版社(2018年)

https://www.amazon.co.jp/dp/453213482X/ref=cm_sw_em_r_mt_awdo_1jhCCbHQXBQ2F

https://books.rakuten.co.jp/rb/15504380/

古代中国から21世紀の統計学までを一気通貫に解説した大著(576頁)。確率論が誕生する前の「統計学以前の統計学」という視点で政治算術や人口統計を記述している。20世紀の統計学について紙幅が割かれているが、この部分については学部レベルの確率・統計の知識が前提。

 

(参考)

『経済統計の活用と論点 第3版』梅田雅信, 宇都宮浄人 著、東洋経済新報社(2009年)

https://www.amazon.co.jp/dp/4492470816/ref=cm_sw_em_r_mt_awdo_5qjCCb8PD86NZ

https://books.rakuten.co.jp/rb/6224605/

エコノミストの必携書とも言える名著だが、改訂が止まっているのが悔やまれる。統計ユーザー・メーカー双方の経験をした著者だからこそできる、統計のクセについての解説がありがたい。